「あの時・・」:機会費用(3)・・(経済学005)

~ 選ばなかった「選択」を考える~

「機会費用」について、だいたいのイメージはつかめましたでしょうか・・?

機会費用は「犠牲にされた選択肢(A)を選べば得られたであろう“価値”」、逆に言えば、「Bを選んだのは、Bの価値が選択肢(A)の機会費用より大きかったから」とも言えます。しかし、ここで一つの問題があります。それは、「機会費用の価値」の算定が難しい場合はどうするか・・と、言うことです。(選ばなかった”未来”の価値なんか、所詮は分かりませんものね・・)

そこで、ケーススタディとして「(志望校合格のために1年間)浪人する場合の機会費用」について考えてみましょう。浪人する動機は人それぞれでしょうが、一般的には「”いい大学”を出れば、”いい会社”に就職できて、”いい給料”がもらえるから・・」といったところでしょうか・・。つまり、「浪人する機会費用」とは、”いい会社のいい給料”となりますが、その見積もりはなかなか難しいでしょう。そこで、浪人することによって”明らかに発生するコスト”を「機会費用」と捉えて考えてみましょう。

まず前提条件として;
選択肢 A:不合格だった第一志望の合格を目指して1年間浪人。新卒で就職する。
選択肢 B:合格した第二志望の大学に通い、新卒で就職する。
いろいろな付帯条件を考えると比較が複雑になりますので、ここでは主に「生涯給与」で比較し、「B」を選択したとします。

大学浪人をする「機会費用」は、1年間の予備校授業料・生活費だけではありません。入社が1年遅れるということは、「在社期間が1年短い」という事ですから、定年前の最後の1年分の給料をもらえないということになります。そして、その1年分の見込み給料も「機会費用」と捉えます。

更に、この「機会費用」をマイナスと考えると分かり易くなります。左図では、(A)浪人して”いい会社”に入って生涯給与は「220」で、(B)の「210」よりは多くなりますが、機会費用を含めて”実質”(A:200)で考えると、Bの方が多かったことになります。

以上、「大学浪人する場合の機会費用」を考えてみましたが、1年間”入試のためだけに”浪人するということは、非常に機会費用が大きくなることが実感できたでしょうか。そう考えると、他の選択は非常に”価値”があったということも言えます。

「機会費用」は、最初はとっつきにくいのですが、一度分かってしまえば、非常に単純なコンセプトであることが分かります。経済に限らず、我々は日々、様々な「選択」をしています。そんな時、その時の雰囲気や気分で判断するのではなく、はっきりした”根拠(できれば金額ベース)”で選択肢を評価し、合理的な判断を下したいものですね。

次回は、より良き選択のための「機会費用チャート」をご紹介します・・⇒