量子力学、最初の一冊:「量子革命」

1900年、放射線の不可思議な現象(黒体放射)を説明するため、マックス・プランクは「量子」という概念を考案(もっとも当初はプランク自身、この結論には懐疑的ではあったのですが・・)しました。 時は”激動の20世紀の幕開け”、それと同時に物理学もニュートン力学から新しい時代の幕開けを迎えたのです。

量子革命
【アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突】 
マンジット クマール (著), 青木 薫 (翻訳)
新潮文庫 (2017/1/28)

◆ 量子力学の解釈をめぐるアインシュタインとボーアの論争を軸に、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガーなどの人間ドラマも交え物理学百年の流れを追った白熱の科学ノンフィクション。(2013年の同名の単行本からの文庫化)

ここでは、量子力学がどういったものであるかを解説するには、とてもじゃないがスペースが足らなすぎる・・と、いうか私自身、物理学者でも何でもないので、何らの解説を加えるような知識も才能も持ち合わせていないからではありますが・・。

ノーベル賞の受賞者・受賞理由を見るまでもなく、20世紀後半から21世紀にかけて、物理学は量子力学や宇宙論の新発見に沸き、人間の英知に改めて感慨を深くするわけですが・・。私自身、量子力学に興味を持ち、その後、いろいろな”量子(漁師)本”を漁ったきっかけになったのが、まさにこの「量子革命」です。

もちろん私は、この物語に出てくる物理学者の理論や数式は理解できません(無理です!)。しかし、プランクから始まって、アインシュタイン、ボーア、ハイゼルベルク、ド・ブロイ、シュレディンガー、ディラック、パウリ・・登場するそうそうたる科学者の人間ドラマが実に興味深いのです。今までは、科学者は”真理追究のため孤高の人生を送っている”というようなイメージでしたが・・なかなか、どうして、どうして、けっこう人間臭い部分があります。

彼らにとって最高の名誉は、何と言っても”自分の研究が世に認められること”で、その最高峰が「ノーベル賞」ということでしょう。そして、彼らの研究のバイタリティーの根源は、大なり小なり、この”名誉欲”があるのではないでしょうか。そんな彼らの思想や研究、欲望がからみ合って現在の量子力学が組み立てられて来たという科学の一面が非常におもしろいのです。

さらに、量子力学という名前こそ、最近ではありふれた単語になっていますが、この物理理論の原形は1930年代ごろまでにはすでに出来っていたわけで、プランクの発見(1900年)からわずか20~30年しか経っていないというのは非常な驚きです。この当時は、ヨーロッパでは「ハイル・ヒトラー!」ってやってたわけですから・・そういった時代の裏側で、量子力学がゴツゴツと理論を組み立てていたとは・・。

また、この翻訳者は青木 薫氏ですが、多くの科学書を翻訳されていて、この本に限らず、氏の翻訳本は非常に読み易いのです。科学書は単に翻訳しただけでは意味が全く通じません。十分な教育バックグランドと知識・経験がないと、素人が読んでも分かる本は書けません。私は、氏の翻訳本ならタイトルを見ずに購入していますが、ハズレはまったくありません。翻訳者から本を選ぶ・・と、いうのも良書に当たる一つの方法ではないでしょうか。

さて、こうして量子力学の(人間の)流れが大づかみで理解できたところで、量子力学、相対性理論、宇宙論の各分野に入って行かれると、非常に分かり易いと思います。各分野の書籍については、また、ページを改めてご紹介しましょう。